知ることから、感じることへ。

知ることから、感じることへ。

「この植物は、何という名前?」

「樹齢は何年だろう?」

「この実は、何の実?」

自然の中を歩いていると、日常生活では見たことがないモノがいっぱいで、“私たちの知りたい気持ち”は一気に花開きます。

目の前に現れたナゼ、ナニを“知る”ことも、喜びのひとつ、ではあります。けれども、自然の中を歩いていると、一歩一歩足を運ぶごとに変化していく香り、色彩、葉っぱ、足の下から感じる土の感触、枝の隙間から見える空のかたち……それらは知識を超えて、私たちのココロに飛び込んできます。

このWebサイトは、北飛騨エリアの森の優しさや崇高さを感じていただくためのページです。これを見て、何かココロに響いたら、北飛騨に来て、五感で“感じる”ことの素晴らしさに浸ってみてはいかがでしょう? 優しい自然が、あなた自身の優しさと共鳴し、きっと、何かを語りかけてきます。

森の案内人と一緒に。

インタープリターと一緒に。

自然が語りかけてくるメッセージを、より楽しい体験にしてくれるのが、自然のことを学び、自ら体感してきた、森の案内人。
あなたの“知りたい気持ち”にお応えすることはもちろん、五感で感じることの素晴らしさのキッカケを、一緒に森歩きする中で、たくさん、たくさん、提供してくれます。
自然案内人は、あなたと自然をつないでくれる役割を果たしています。

北飛騨の自然の優しさは、守る人の優しさ。

大地は祖先からの贈り物ではなく、子孫からの預かり物である

アメリカ先住民族ホビ族に伝わる言葉

私たちは多くの方が“北飛騨の森”を訪れ、その豊かで美しい自然に触れ、心も体もウェルネスになっていただきたいと願っています。同時に、この森を豊かなままで次の世代に送っていく責務があるとも考えています。(保護・保全にしっかり取り組みながら人に訪れていただく仕組みをつくっていく、それが私たち「北飛騨の森」のツーリズムです。)そのための取り組みいくつかをご紹介します。

1. 池ヶ原湿原の湿原植生回復事業の実施

「駐車場から少し歩くと、あっという間に別世界に誘われる」

“岐阜の宝もの” 認定委員 甲賀 雅章氏

池ヶ原湿原

しかし、4月下旬から5月上旬のミズバショウやリュウキンカの咲く時期が終わるとヨシが伸び始め、7月以降になると繁茂したヨシで木道も歩けない状況でした。そこで、岐阜大学林 進 名誉教授の指導を受け、年2回のヨシの除伐と根切りを実施。

本事業の他、飛騨市、「奥飛騨数河・流葉県立自然公園推進協議会」等関係団体、地元住民、市民ボランティアの協力も得て、実施した結果、顕著な植生回復がみられるようになりました。

植生回復の状況

H22以前の8月中旬の木道
H22以前の8月中旬の木道
H22年8月下旬のヨシの除伐作業
H22年8月下旬のヨシの除伐作業
H24年8月中旬(7月中旬第1回刈り取り)
H24年8月中旬(7月中旬第1回刈り取り)
H24年10月22日(9月上旬第2回刈り取り)
H24年10月22日(9月上旬第2回刈り取り)

植生回復事業によって観ることが出来るようになった湿原内の花々

回復した植生1 回復した植生2 回復した植生3
回復した植生4 回復した植生5 回復した植生5 回復した植生6
回復した植生7 回復した植生9

2. 外来植物の除去等自然環境保全・回復の取り組み

天生県立自然公園、深洞湿原、池ヶ原湿原にてオオバコ等外来植物の除去を市民ボランティアなどで実施しています。

天生峠駐車場でのオオバコ除去作業
天生峠駐車場でのオオバコ除去作業
池ヶ原湿原での作業後のフルートコンサート
池ヶ原湿原での作業後のフルートコンサート

3. 天生での携帯トイレ及び使用ブースの実施

多くの野外排泄が問題になっていた天生県立自然公園で携帯トイレ使用を促進。ブースを設けることで携帯トイレを使用しやすくしました。

※平成22年より試行開始、平成24年からは天生県立自然公園協議会が本格的に運用しています。

携帯トイレブース内観 携帯トイレブース外観

4. 天生の森サポーター倶楽部の創設

天生の森を保護・保全し次世代に引き継ぐ仲間を広げることを目的に創設しました。会報の発行、会員交流会を実施しています。

サポーター倶楽部 天生の森通信

5. 天生の森シャトルバス

天生県立自然公園への公共輸送機関の確保を図るためバス会社と連携し、JR高山駅と天生峠を経由し白川郷へ至るバスを39年ぶりに復活しました。

天生の森シャトルバス

6. 天生県立自然公園の登山道を守る

岩佐外里男

岩佐外里男

登山道の木の階段をボルトで止めると、木が腐ってボルトだけが残ってしまうことがあるんです。 これに人がつまずいたりすると、とても危険なことなんですね。だから杭を地元でとれるクリの木にしています。 雪で閉ざされる時間を利用して、年間に1200本?1300本作ります。 根を踏んで歩かれると、自分が踏まれたような気がするんです。 登山道階段の杭は腐りにくいクリの木です。 大きなブナの木が枯れてしまうと、涙が出てきます。木の根にも、人にも負担をかけない、なるべく自然を活かして、温もりを感じて頂けるように森を整備しています。

砂田重訓

クリの重い杭を一気に上げるのはつらく、一度に30本ぐらい運ぶのが限度です。ひとつの段を作るのに2本の杭を打ちます。60本持っていっても30段しかできないんです。木の根を傷めないことにも心掛けて、実際に自分で歩いてみて、降りる時も膝に負担がかからないようにしています。 全盲の方が、ボランティアの方と登ってこられ、「ここだから登ってこれた」とおっしゃったんですね。忘れられない思い出です。

砂田重訓